押しの一手で古家を物納する

相続税評価はそう正確というわけではありません。ものによっては時価よりも高い評価もなされます。そのような資産は物納するのが一番です。物納は相続税評価で引き取ってくれるからです。

さてある相続事案です。物納しようとする土地上にかなり古い家が建っていました。むろん市場価値はゼロですが、相続税評価は400万円にもなっています。そこで思い切って、これも物納することにしました。

しかし案の定、税務署側は「こんなボロ屋の物納など認められない」と収納を拒否します。その気持ちは分からなくありませんが、だからといってこれをゼロ評価してくれるわけではありません。

そこで当方は「相続税法基本通達には、収納拒否ができる建物として”今後数年以内の使用が耐えないと認められる建物”と書かれています。しかしこの建物はまだ10~20年ぐらいは十分使えますネ」。先方はグッと言葉に詰まります。それでも「OK」を出そうとしません。「分かりました。NOでけっこうです。しかし収納拒否は行政処分ですよね。こちらはそれを違法処分として異議申立で争いますから」。

ルールが先のようになっている以上、こちらは負けるはずがありません。先方もその点を理解したのでしょう。渋々収納をOKしました。しかし私自身、当時はこうしたボロ屋ともいうべき建物の物納の話はあまり聞いたことはありませんでした。やればできるものですね。