「面大減価」の法則を知ろう

面積が広いほど値は大きく下がる/広い土地は分割して価値を下げる/「羊羹」なら大きくてもいい

 ここで、最大の土地の個別的要因である面積に関して、事例で考えてみます。図表4-2をご覧ください。大都市郊外の住宅地域に、時価が坪50万円で面積が40坪のA地があります。そしてその隣のB地は面積は倍の80坪ですが、他は地形を含め全てA地と同じです。そこで質問です。B地の坪単価はいくらでしょうか。

図表4-2: 40坪のA地と80坪のB地

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この正解は「坪40万円」といったところになります。理由は、B地が坪50万円であればその総額は4,000万円となって、一般サラリーマンからは全く手が出ない水準(建物代を入れて6,000万円近く)となってしまうからです。逆にA地が50万円で売れるのは、土地の総額が2,000万円(建物代を入れても3,500万円強程度)であり、一般の人でも取得できる範囲にあるからです。

広い世の中には、土地代に4,000万円を出せる人はいくらでもいるのも事実です。しかしそのような人は、こんな「田舎」の土地は買いません。おまけに今時のマイホームには80坪も必要ありません。ですからこういう人は、もっと都心に近い便利な所に、40~50坪の土地を探すと思われます。

B地の売れない理由が4,000万円という土地代の総額であれば、多少値を下げてもどうにもなりません。敗因は面積が広すぎる点です。であればこの土地は2つに分割することになります。ただし間口がそう広くないため,真っ二つには切れません。したがってC地のように分割することになります。

すると手前の土地は坪50万円でいけますが、奥の路地状の土地は3割引き程度になってしまいます。この 他測量・分筆にも費用がかかります。そもそもこのような土地は、相場より低めのものを取得する建売り事業者しか買い手はいません。それやこれやで「坪40万円」となるわけです。

この「A地40坪・B地80坪」の設例が示すとおり、土地の単価には土地代の総額がどの程度になるかという問題が密接にからみます。そして一般に、土地の面積が大きくなるにつれてその単価は減少していく傾向が顕著にみられます。これを鑑定評価では「面大減価(メンダイゲンカ)」という用語で説明しています。これは便利な用語ですからご記憶願いたいと思います。