配偶者の税額軽減、小規模宅地特例

うれし涙の「配偶者税額軽減」/救いの神の「小規模宅地の特例」

 

20人に1人

先に、遺産が巨額になると大変な税額になることをお話ししました。かなりの資産家にとっては、まさに相続税は恐怖の的なのです。

一方では遺産の額が1億円前後であれば、相続税額は数百万程度で済みます。おまけに相続人に配偶者がいれば、さらに税金はかなり下がります。したがって、遺産の額がほどほどの額であれば、相続税などそう気にする必要はありません。

いやそれ以前に、相続税がかかるような遺産を残す人が例外的存在です。既に述べたとおり、死去により相続税がかかるような人は5%以下とされています。要するに、基礎控除額(法定相続人3人で8,000万円)以上に財産を遺す人は、20人に1人なのです。

この割合は「意外に少ない」とお考えのことと思います。実はこれはある評価の特例が強くからんでいます。それは自宅の240・までの土地の評価額は、原則として8割引きにするというもの(小規模宅地の特例)です。本来なら、坪100万円以上の地に自宅を構えている人の多くは相続税が課されるはずなのですが、この特例のおかげで免れているわけです。確かに、そう広くもない自宅の地価が少々高いというだけで、相続税をドカンとやられたのでは辛いものがありましょう。

いずれにしても、20人のうち19人までは相続税には無縁です。しかし世の中には相続税対策を売り物にした各種の売り込み(アパート建築とそのローン、生命保険等)が華やかです。この動きに乗せられる形で、本来必要のない心配をしてしまっている方も多いのではないかと思います。「相続税は大半の人には無縁」を強調しておくこととします。