曲がったキュウリは嫌われる。それが「市場」

使い勝手が悪い三角地のお値段/買い主は欠点ばかりに目がいく

地形については先にみていますが、今度は図表4-5の三画地を考えてみましょう。いつものとおり、標準的な土地の単価を100としたときにこの三画地の単価はいくらだとお考えでしょうか。むろん買い主の立場からの2段階の判断です。

図表4-5: 三角地の分析

有効部分以外の土地の単価が30%程度とはとても考えられません。見た目でつける市場価格には少々疑問を感じます。

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するとおそらく結論は70といったところとなりましょう。しかし冷静に考えてみましょう。つまりこの土地は点線で囲まれた標準的な土地に、3つの小さな三画地が加わったものです。見た目で点線内部分の面積が6割あるとすると、この6割部分の単価は100になりますから、三角状の残る4割の土地の単価は4分の1となります。そうしなければ先の全体の単価である「70」とのつじつまが合いません。

しかしどう考えても、小さな三角状の土地の単価が25というのは低すぎるように思います。結局「70」というのは、こうした理屈から考えると低すぎるという結論が得られます。しかしこれが75で売れることはあっても、80以上で売れるとは思えません。

「曲がったきゅうりは売れない」といいます。どうも日本人は潔癖症なのか、買い主の目は、土地の欠点を実態以上に見てしまう傾向があるように思います。しかし市場はあくまで、こうした理屈抜きの買い主の目を中心に形成されていることを忘れてはなりません。

なお売り主の目からこの三画地を見ると、おそらく90位にみえるものと思います。地形に合わせて建物の配置等を考えれば、この程度の不整形はさしたるマイナスにならないと考えてしまうからです。この考え方も一理はあるように思います。

しかし繰り返しますが、市場は買い主の目を基準に動きます。この土地に80~90の値が付いていたら、おそらく誰も買わないであろうことが予想されます。そして時価とは「売りに出して売れる値段」なのです。