何をさておいても、まずは「円満に」

だれかが我慢する円満はウソである/介護貢献者をないがしろにしない

 

遺産分割に当たり、声を大にして世の人に申し上げます。それは金融資産と不動産の価値の違いです。

たとえばこれを、相続税納付後で10億円の不動産を相続した兄である実家の跡継ぎと、5,000万円の預金のみを相続した妹(自宅は確保済み、ローン無し)との比較で考えます。であればこの妹は、「兄は私の20倍の資産を相続してうらやましい」などと考えるかもしれません。

しかしこの場合なら、筆者は明らかに妹の方がうらやましいと思います。この妹には、既に相応の生活をしている中にあって、煮て食おうが焼いて食おうが自由な5,000万円が舞い込んだといえるからです。

一方兄の相続財産は、自宅とか賃借人のいる収益不動産といった、事実上売るわけにはいかない不動産がほとんどです。おまけに金融資産は納税等でスッカラカン。多額の家賃収入があるとしても、その多くがローンの返済に消えます。本家としての体面やつきあいは必要ですし、やがて来る自分の相続の税金の工面も考えなければなりません。