重厚長大のメーカーを中心に、産業界は全くの原発再稼働推進派だね。
去年は土日操業を行う等、節電に協力したんだけど、それは災害直後だから無理して頑張った。でももう今年は勘弁してほしい、なんて言うんだ。
いやそれ以前に、こんな電力供給が不安定な国では安心して操業できない。だから原発をしっかり動かして安定供給をしてほしい、というわけだよ。

その気持ちは分かりますよ。だけど今の電力業界や役所等によるデタラメ再稼働なんてありえないでしょう。もし「デタラメでも何でもいいから再稼働を」、なんて言うなら、それは産業界の許されざるエゴそのものだよ。

だって電力会社は、その当然の責務である電力の安定供給を質に取るような形で、自身のエゴ(地域独占や原発依存体制の堅持、責任追及の回避等)を貫こうとしているんだ。「原発を再稼働させないと、停電させちゃうぞ」ってわけだよ。

そして産業界は、こうした卑怯極まる行為にも「停電にされたのではたまらないから、早く再稼働を認めろ」なんて言うんだ。情けないったらありゃしない。ヤクザの脅しにぶるってるだけじゃないの。

だけど産業界では、その活動・商取引には、何より経済合理性が追及されるはずだよね。さらにその背景には、経済倫理みたいなものもあるはずだよ。

にもかかわらず何で産業界は「電力会社はまじめにやれ」って言わないんだろう。だって産業界は電力業界のデタラメに引っかき回され、その生産活動はかなり脅かされてしまっているじゃないの。
そもそもこの状況での再稼働は、本来の経済合理性の見地からも許されないってことぐらい、産業界だって分かってるはずだよ。

確かに電力業界は産業界一のお得意さんですよ。聞くところによると、電力業界の設備投資額は鉄鋼業界の6倍、自動車業界の3倍の規模なんだそうだね。重厚長大産業にとって、大得意先の電力会社には頭が上がらない、ってわけなんだろう。だから連中は今まで、各種の経済団体等で大きい顔をしてきたわけだよ。

でも今後は産業界にとっても、こんな杜撰な電力業界が許されるはずがないよ。だってもう一度原発の大事故ったら、本当にこの国は終わっちゃう。産業界もアウトだよ。
であれば電力会社は、透明化を徹底させなくちゃならないよ。さらに地域独占をやめさせ、発・送電を分離すること等により、民間の健全な競争をやらせるべきなんだよ。

それによって電気料金は大きく下がるし、サービスや安全性が向上するはずだよ。そしてそうさせることこそ、産業界が追及すべき経済合理性に叶うことになるんだよ。

ついでにいえば、我々だって「何が何でも原発は即時停止」って言ってるわけじゃあないんだ。

産業界が結束して先の経済合理性を追求する。となれば原子力ムラの連中は皆引退し、第三者的な新しい人達によって原子力行政が再出発する。その過程で、この夏の電力需給の情報を徹底公開する。その結果、本当に原発が必要であることが分かれば、我々だって臨時の再稼働は認めますよ。

経済界・産業界は、結束して内部の許されざる業界を徹底的に批判すること等によって、自浄作用を発揮してほしいと思う。そしてそれは本来、経済界の使命・責務だと思うんだよ。