相続・不動産の森田税務会計事務所 森田義男集団的自衛権行使の三要件の一節にはこうある。「(武力攻撃の発生で)わが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」。だからこれに該当しない限り、自衛権は行使できない。

ところが安部総理は、原油輸入ルートのホルムズ海峡に機雷がまかれれば「日本経済に相当な打撃になる」として、(武力行使である)機雷掃海に意欲を示す。
また彼は、「死活的に重要な日米同盟で起こり得る事態は、三要件に当てはまる可能性が高い」とも言う。

冗談は止めてもらいたい。「日本経済に相当な打撃」程度のものが、どうして「国民の権利が根底から覆される明白な危険」に該当するのか。
ましてや、米国が攻撃を受けることにより「日本人の生命や権利が根底から覆される」など、まるで考えられない。

現に内閣法制局長官も、三要件は「日本が直接攻撃を受けたのと同様の場合」を指すと国会答弁している。原油輸入の妨害程度を「わが国が直接攻撃を受けた」など考えるのは、全くの誇大妄想。北方のどこかの国の将軍様と同じ発想である。

一方マスコミ等は、「これは拡大解釈であり、これにより武力行使の範囲が際限なく拡大されてしまう」などと批判する。

しかしこれは拡大解釈どころの話ではない。「黒を白と言いくるめる」といったネジ曲げそのものである。
法治国家・法令は文章・言葉が命である。これらの規定は、常識的・文理的に理解しなければならない。勝手なネジ曲げを許せば法治国家が吹き飛んでしまう。

この問題は、「平成の治安維持法」ともいうべき特定秘密保護法にも共通する。

この法律は特定秘密を、防衛やテロ防止等に関して「その漏えいが,わが国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるもの」等と定めている。

にもかかわらず、例えば防衛部品の納入業者の社名レベルの、極めて広汎な内容が特定秘密に指定されるやの話を耳にする。
となると警察は裏金情報の洩れを防止するために、経理内容等をイの一番に特定秘密に指定するだろう。役所にとってこの法律は、自身の不祥事隠しにはもってこいの存在にもなるのだ。

しかし警察の裏金、ましてや防衛部品の納入業者名などが「安全保障に著しい支障を与える」等に該当するはずがない(むしろ警察の裏金こそ、わが国の安全保障に著しい支障をあたえよう)。

さらに川内原発関していえば、規制委員会による所定の「規制基準」に適合したというに過ぎない。しかし安倍内閣はこれを「原発の安全性が確認された」という。
むろん基準適合は「安全性の確認」を意味するものではない。これもごまかし・ネジ曲げである。

安倍政権になってから.異次元ともいうべき強権的な政治や行政が強行されつつある。しかし自民党支持者を含め、国民はそれらのほとんどを望んでいない。
そこで彼らは強行の手段として、「言葉でごまかす」という役人の悪知恵を極限まで利用したわけだ。

しかし法治国家を標榜するこの国にあって、安倍政権には乗り越えなければならない最後の砦がある。裁判所である。裁判所がこうしたネジ曲げを違法と断じれば、彼らの悪巧みは一掃されてしまうのだ。

しかし政権側もそれは先刻承知であろう。そして彼らは「裁判所にはそんな意欲も馬力もあるはずがない」と高をくくっている。だからこそこうした強行を推進してきている。事実、裁判所は行政訴訟等で「国を勝たせるための存在」であった。裁判所はまさに国にひれ伏しているのである。

しかし先頃には、一審とはいえ立派な大飯原発差し止め判決が出されている。裁判所もそう捨てたものでもないのかもしれない。また裁判所は、世論の動向を含め風見鶏の性格が強い。

であれば我々は、今後裁判所の動向を批判的に注視していくべきではあるまいか。それが安倍強権政治の阻止の早道のように思うのである。