実りある相続のために(1)

土地売却のチャンス

 先程、「地主層の跡継ぎは金融資産の不足に悩まされている」といったお話しをしました。であれば、相続に際しては売れる土地はなるべく多く(本音ではすべて)売るべきではないでしょうか。これによりかなりの余剰資金を残したいのです。その最大の理由は、相続時が一番土地を売りやすいからです。

 しかし一般に地主層は、親譲りの土地を売るということに猛烈な抵抗を感じています。さらに売却にはまわりの目を気にします。ただし納税資金を要する等、相続となれば仕方ないと考えます。この時なら、少なくともまわりの目を気にする必要がなくなります。そこでこの絶好の機会に、かなり余分に土地を売ってしまうのです。

 むろんこの余剰売却資金で「贅沢三昧をせよ」というわけではありません。まず「相続税対策借入金」が残っているのであれば、これを返済します。新たな土地有効利用のための軍資金や、既存の賃貸建物の大規模修繕等の資金にも回します。さらに、本家の体面やつきあいを維持するための準備資金、そして将来における相続の納税や遺産分割資金の準備とします。

 何よりも、今までより少し潤いのある生活するための資金に充ててほしいと思います(相続という大事業を無事切り抜けた以上は、せめて海外旅行(欧州10日間)程度のご褒美は受けていただきたいものです)。

 いずれにせよ、最終的に少なくとも5,000万円程度の資金は残るようにしたい。あるいは、借金の一括返済等により、かなりの家賃収入(資金繰りベースで、少なくとも年1,000万円以上)が確保される状況にしたいのです。

 しかし前述のとおり、跡継ぎたる相続人の中には未だにこうした土地売却に妙な罪悪感を持つ人がかなり多いようです。しかしそれは蛮勇をふるって払拭していただきたい。今述べたことは極めて当たり前、全くの常識です。地主層には、自縄自縛ともいうべき自身の意識を改革することが求められているように考えるしだいです。

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