杉並区が、病気で長期欠勤していた選挙管理委員(区議OBの72才)に、140万円の報酬を支払っていたんだってね。そこで住民が、この区議OBに返還を求めて裁判を起こしたそうな。

ちょっと待ってよ。杉並区って私の住んでる所じゃないの。この1月に問題化したというんだけど、イヤー知らなかったよ。

この区議OBは去年に脳梗塞で倒れ、半年間欠勤した後の昨年10月に辞任。区はこの半年間、満額の報酬140万円を支払っていたわけだ。
住民側が行った監査請求には、「条例には減額規定がなく、不当利得とはいえない」と、区監査委員は4月に請求を棄却したとのことだよ。

何、このデタラメ。いいですか。ポイントは条例の規定がどうのとか、民法の不当利得の解釈じゃありませんよ。判断基準はあくまで「常識」なの。こんなどうにもならない非常識を通用させるから、役所はダメだっていうの。

役所の担当者は、この委員が脳梗塞で倒れ回復も難しいことの連絡は受けたはずだよね。だったら当然、選管委員を辞退してほしい旨の依頼をすべきでしょう。相手は区議OBであれ何であれ、選管委員になるような人だから、これを言われれば辞任するより他ないと思うよ(むろん自発的な辞任が筋だけどね)。

万一、これをしっかりやっても辞任しないという非常識を言うのであれば、直ちに条例(間に合わなければ内規)なりを適宜修正した上で辞めさせてしまう。
これを元委員が不当というのであれば、「出るところへ出る」までのことだね。条例や民法の出番はこの段階からだよ。

この争いの結論がどう転んでも、世論はまちがいなく役所を支持するね。そうした行動が社会の常識にかなっているからだよ。

ところが実際はこれと正反対。役所が漫然と大枚の報酬を支給したのは、単にそうしたしんどい折衝がイヤだっただけでしょう(もっとも民間なら、この程度の折衝は普通だけどね)。

そもそも条例その他に、あらゆることが規定されているわけがないんだから。その空白部分は、臨機応変に常識的判断で補う。それこそこれは社会の常識なんだよ。

役人は法律等をご都合主義的に利用して、楽な方へ楽な方へと動く。そのために税金が余分に使われようが、知ったことではない。杉並区長はもちろん監査委員も議会もみな同じ穴のムジナ。情けないったらありゃしない。
こんなデタラメが日本中で行われているんだよ。これじゃあ税金はいくらあっても足りるはずがないよね。

前から何度も書いているけど、(財政再建のための)増税の前にはやることがあるんだ。確かに天下りの根絶といった公務員改革は重要だよ。だけどそれより大事なのは、こうしたたるみきった役所文化の一掃だね。

まずは夕張市や震災被災地のような公務員のがんばり。その上での大リストラ。こうした精神面と制度面との双方が飛躍的に改善された段階での増税の要請であれば、いくらでも応じてみせますよ。