遺産分割の知識(3)

まとまらなかったら

 遺産分割が最終的にまとまらなかったら、弁護士に依頼する等により、裁判所の調停さらには裁判に持ち込まれることになります。

 最初に遠慮のないことをズバッと申し上げます。一般に法律の専門家(裁判所・調停委員、さらには弁護士や公証人)は、常識や「人の気持ちの理解力」が欠けているのではないかと思われる点です。

 まず諸悪の根源ともいうべき裁判官。彼らは親の介護や稼業の貢献度など、遺産分割ではほとんど考慮しません。理由は民法が均分相続と定めているからです。調停委員は常識人も多いようですが、立場上裁判官の考え方を尊重します。

 一方、ある程度の常識等は心得ているはずの弁護士は、全体の常識的な調和よりも自らのビジネスを優先する傾向があります。彼らのビジネスとは、揉め事を和解や裁判で解決することです。だから一般に彼らは「依頼者の利益優先」を錦の御旗に、結果として揉め事を拡大する方向に動きます(例外の人も多いとは思いますが)。またその報酬の高さにも驚かされます。

 しかし3~4人も兄弟姉妹がいれば、中には妙な主張をする人が出るかもしれません。ともするとそういう人が弁護士の所へ駆け込みます。駆け込まれたらもうまともな話はできません。その後は「依頼者の利益」のためだけの強硬な主張がなされます。これで話は泥沼に入っていきます。

 筆者がここまで言うのは、「弁護士の介入があってよかった」といっている人がほぼ皆無。多くの人が「思い出すのもイヤ」、という結果になっていることを知っているからです。

 となれば遺産分割に当たっては、まずは「弁護士への駆け込み」を食い止めなければなりません。それには、遺産分割をリードする人が、多少なりともそうした無理を聞き入れる形で妥協するしかないように思います。さらにこれをまわりの人に説明して了解をもらいます。

 そしてこの理不尽さは腹の内にしまい、時が解決してくれるのを待ちます。最悪でも、その後の冠婚葬祭での顔合わせを可能にしておく必要がありましょう。

相続税対策個別ご相談予約
『相続コンサル力の磨き方~不動産を「見る目」を養う』DVD お申込
森田税理士「相続対策の秘訣」DVDお申込
広大地評価の税務はお任せください

森田義男の書籍紹介

相続税を減らす不動産相続の極意 不動産の相続対策

相続税を減らす不動産相続の極意 不動産の相続対策

相続に関する多くの誤解が解け、「円満かつ資産を守る相続税対策」の本質が見えてきます。

取り返せ!相続税

相続力

平成23年度税制改正大綱に対応!経験豊富な相続税専門の税理士が、相続にまつわる家族の円満から、不動産評価の実態、税務調査まで、本音で語る相続力アップの本。本当は、相続関係のプロには読ませたくない、上級テクニックを披露。

取り返せ!相続税

取り返せ!相続税

相続時の注意点から、知っておきたい節税手法、土地の時価評価のしくみ、そして税理士の選定方法まで徹底解説。

広大地の税務評価

広大地の税務評価

広大地評価通達・企画官情報の問題点とその実務対策

日税不動産鑑定士会(編)

裁判の新刊

裁判所の大堕落

冤罪を続発させ役人のいいなりになる腐敗組織。
役所の腐敗や次々に起こる冤罪は、裁判所の劣化・堕落が原因だ!

はじめての不動産実務入門

はじめての不動産実務入門

不動産の見方、評価の仕方が面白く身につく!実例写真、オリジナルなグラフや図表、わかりやすい解説で理解度100%。

公示価格の破綻

公示価格の破綻

実勢価格との乖離、「選定替え」という不自然な操作など、迷走を続けてきた「土地取引価格の指標」はついに破綻。

新・間違いだらけの土地評価

新・間違いだらけの土地評価

先入観念や誤解に支配されている不動産に関する一般の認識を是正。土地の評価方法、土地の時価等を解説。

新・嘆きの固定資産税物語

新・嘆きの固定資産税物語

反響をよんだ前著から4年。この間の動きを加え、路線価の評価制度や税制について、新たに分析、批判を試みる。

新・怒りの路線価物語

新・怒りの路線価物語

固定資産税制度を痛烈に批判した「嘆きの固定資産税物語」に3年間の事態の進展を追加した最新版。

まちがいだらけの土地評価

まちがいだらけの土地評価

自然体で地に足の着いた発想と考え方で、土地の評価方法、土地の時価等を解説。不動産の姿を冷静に見つめ直す。



メールマガジン登録解除変更
モリタックスのつぶやき別館