経産省元審議官の逮捕報道等にみる、大新聞の権力擦り寄り

(2012年01月14日)

 読売新聞は13日に、「産業政策への信頼が失墜する」とする社説を載せたね。東京地検特捜部が、インサイダー取引の疑いで経産省の元審議官を逮捕した件に関するものだよ。

 だけどこれはそんな大層な事件なのかい。稼いだ利益はたかだか230万円。キャリア役人で責任ある立場にいたとはいうものの、組織的背景のない単独犯に過ぎないじゃん。

 実はこの社説の本質的な問題は、検察が逮捕したというだけで、マスコミが彼を犯罪者と決め付けてたという点にあるんだ。だって彼は「公知の事実に基づくもので、インサイダー取引に当たらない」と容疑を否認しているじゃないの。
 だから社説も「特捜部は徹底捜査で事実関係を解明してもらいたい」と言ってる。彼が黒か白かは分かっていないんだからね。だからこの記事はこれで終わりなんだよ。

 にもかかわらず社説は、彼が「真っ黒」という前提で彼をやたら批判する。何せ社説の書き出しからして、「産業政策に対する国民の信頼を根底から揺るがす不祥事である」だもんね。
 ましてや社会面では、彼が極悪人であるかのような記事をデカデカと書く。「経産省内では、"私利私欲だったのか"と憤りの声も上がった」なんて調子だよ。これじゃ彼やその親族はたまらないよね。

 そもそも「検察が逮捕した」って事実は、そこまで信用性があるの。マスコミは昔からそういう取扱いをしてきたけど、村木さんの事件以降、検察の信頼は地に墜ちちゃってるじゃない。
 事実「巨悪を眠らせない」なんて大見得切っていた天下の特捜部が、何でこんなチンケな事件をやるのさ。そもそもこの逮捕は、「アリバイ的と言われようが、何かしなけりゃ特捜部が潰されかねない」という危機感からやったんじゃないの。

 でもマスコミが彼を極悪人に仕立て上げれば、特捜部はいかにも「正義の味方」に見えるよね。つまりこうした大報道は、ピンチにある検察への大ゴマすり行為にしか思えないんだよ。逆にそのためになら、被疑者の人権などどうでもいいって話なんだろうね。

 実はこの同じ日には、新聞の片隅にとんでもない記事が載っていたよ。発電所に納入される核燃料をチェックする公的機関の検査が、全くの八百長だったことが正式に分かったんだ。この機関が依頼した第三者委員会が、そうした報告書をまとめたんだよ。

 しかもこの八百長は、この検査機関の設立当初(平成15年)からだったというんだ。検査機関が依頼した第三者委員会でさえ「検査機関の独立性に疑念を抱かせる」と、この八百長を批判しているんだからね。
 要するにここでは実質的に検査なんかやってなかったんだよ。それなら他の類似の検査も同じだろうね。そして検査がないような現場には緊張感がなくなるよね。だからあちこちの原発で事故や故障が続いているんだよ。

 ところで福島の原発事故は本当に悲惨な結果を招いたね。だけどその責任者達は未だにその原因を「想定外の天災」などとごまかしてる。
 世の中の何が不思議って、牢屋に入ってもおかしくない連中は未だに大きな顔をしている点だよ。そんな中だからこそ、こうした正式な報告は極めて大きな意味を持つんだ。

 だから本来これは、一面トップあたりでガーンと載せるべきなんだよ。そうしたまともな報道があれば、この国もいい方向に変わっていくはずなんだよ。
にもかかわらず、大新聞はこれをまるで小さくしか報道しない。まあ大マスコミも「原子力ムラ」の一員といっていいもんね。だからそんなことをやるはずがないやね。

 結局のところ大マスコミは、こんな調子でこの国の支配者層・権力者にひたすら擦り寄るんだ。
 こうした姿勢・行動こそが「国民の信頼を根底から揺るがす不祥事である」という、先の社説の冒頭の批判をそっくりお返しして本稿を終わることとするよ。


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