高齢者所在不明問題が示す、公務員の怠惰ぶり

(2010年08月08日)


所在不明の100歳以上の高齢者は、この6日現在で63人になったんだそうな。この問題はもう底なしの状況だよね。一体役所は何をやっていたんだろう。7月末にたまたま足立区で死亡した高齢者の放置が判明してから、あれよあれよの展開じゃないですか。
 
 そもそも住民が生存しているかどうかは、役所の基本情報でしょうが。そりゃー理屈の上では、死亡を含む住民の異動は住民が役所に届けることになっていますよ。だから「俺達は、単にそれを受け付けていればいい」なんて思ってるんだろうけど。

しかし何万人、何十万人といる住民の中にはいろいろな事情を抱えている人が多数いるでしょうよ。だったらそんな「待ち」の姿勢だけでうまくいくわけはありません。特殊な場合には役所から出向くなりしない限り、正確な情報なんて手に入るわけないじゃないですか。

早い話、「正確な事情を把握するべく自身が出向く」なんてことが面倒なだけでしょう。そりゃ冷房の効いた中で「待ち」の仕事をやっていた方が、ずっと楽だもんね。
 いやもっといえば、彼らは「いやがる人に頭を下げて必死に物事を教えてもらう」、なんてことは、ほとんどやったことはないんだろうね。だっていつもはもっぱら、権限を背景に「聞き置く」という精神的に楽な会話しかしていないモンね。だからとりわけこうした仕事には尻込みしちゃうんだよ。

 だけどそもそも公務員・役所の本分はサービス業だよ。その目的をひと言でいうと、国民・市民の安定した生活を確保することじゃないの。そして各役所はその手段として、職務を区分しさらには担当分野を決めているわけでしょう。
 となれば公務員は、単に限られた担当分野の仕事だけやってりゃいいなんてわけありませんよ。結果として「市民の安定生活が守られていない」のであれば、最終目的を守るべく臨機応変に動かなければならんでしょう(以下これを「本来の仕事」といいます)。サービス業はそれが当たり前。民間では当然にみんなそうやっています。

 ところが役人の世界は、与えられた任務だけをやるのが仕事(以下「狭い仕事」といいます)だと勝手に考えているんだよね。
たとえば、役所は独居老人がその自宅で死んでいても、「それが絶対に本人かどうかは分からない」などとして、無縁仏扱いにしてしまうこともけっこうあるんだって。つまり住民票を抹消しようとしないんだよ。
「もし本人ではなかった場合の責任を追及されるのはいやだして、そもそも本人かどうかの調査は自分の担当ではない」というわけなんだろうね。

これではサービスの基本となる住民台帳がムチャクチャになってしまいます。しかし彼らにしてみれば、「住民台帳の正確を期す」なんてことは、「狭い仕事」としては与えられていないというわけ。だから台帳の正確性を守るという「本来の仕事」なんかどうでもいいでしょう。
おまけに組織全体がこれ。まさに「赤信号、みんなで...」なんだよね。

今回の問題もこれと全く同じ。まずは100歳を超えて医療や介護のサービス要請が全くなけりゃ、その人は死亡しているんじゃないかと考えるのが普通だよね。
仮に住民台帳の正確性はどうでもいいとしても、これを放っておくと、最高齢者を国等に報告するという「狭い仕事」も果たせなくなっちゃうよ。だから公務員流に考えても、担当者が直接出向いて家族等の話を聞くしかないんじゃないの。

 仮にそこでプライバシーの問題その他が出てくるのであれば、国や県にそうした問題をぶつける等により解決の道を探ればいいでしょう。それが「本来の仕事」のはずですよ。

 ましてや年金等の支払いが行われている場合には、絶対に放置してはいけませんね。仮に役所側がきっちり調査しても本人の生存が確認ができないのなら、年金支給は直ちに止めなくてはならんでしょう。
役人は「そういう規定がない」といいたいんだろうけど、止めるのは常識だよ。その規定だってよく読めば、「止めろ」と解釈できるはずです。第一、これを止めて文句を言う人はいません。止められた人だって、受給したければ生存を証明すりゃいいんだしね。少しは自分の頭で考えなさいよ。

にもかかわらず、特に調査をしないまま年金等の支払いを続けるのは、ある意味で犯罪行為ですよ。「自分の金じゃないから知ったことではない」が本音なんだろうけど。

仮に、家族の死亡を知りつつ年金を受け取っていた人が詐欺罪に問われたとしましょうか。であれば私は、こんな役人は詐欺罪より罪を重くした「詐欺幇助罪」で訴追すべきと思いますね。
だって「たまたま目の前においしいものがあったため、本当はいけないのを知りつつつい手を出してしまった人」よりも、「自分の怠惰により、つい手を出したくなるような構造を承知で作った公務員」の方が、ずっと悪質であると思うんだよ。

ましてや、都道府県ごとの高齢者上位5人に限っては、厚労省から自宅訪問等でしっかりした生存確認を求められていたといいます。であれば各担当者はいわば上級庁の命令(これは明らかに「狭い仕事」ですよ)ともいうべきものを、各自治体・各担当者は守っていなかったわけだね。

 要するに公務員どもは、「本来の仕事」はもちろん「狭い仕事」ですら、面倒であればやろうとしません。額に汗する仕事、ましてや他人に頭を下げて事情を聴取する作業なんてまっぴらごめん。
居心地のよい役所の中でぬくぬくと、精神的にも楽な「待ち」の仕事しかやろうとしないわけです。
 
こんな眠りこけているような公務員は、その根性をたたき直さなければなりません。そういえばどこかの政党が言っていましたね。「増税の前にやることがある」って。

結局のところ、これらがこの高齢者所在不明問題の本質であるように思ったわけです。

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